ー前書きー
更新が遅れてしまって申し訳ない。
何をしていたのかと聞かれれば、何もしていない。
休日は引きこもっていただけで、それもYoutubeやらニコ動やらをダラダラ見ていただけである。
そんな感じで今年に入って以来、何一つとして有意義なことをしてこなかったという自信があるが、
今日これを更新することで読者諸兄の暇をわずかでも潰すことができるのならば幸いである。
もちろん時間を無駄する可能性もある。寧ろその可能性の方が高い。
心して読んで欲しい。覚悟の準備をしておいて下さい。
ー本題ー
もう3か月も前のことになるので、記憶違いもあるだろうということは事前に断っておくが、
結婚相談所に行ってきたシリーズ、感動の最終回である。
午前に訪れたゼクシィでいい感じに丸め込まれた俺は、昼食をとった秋葉の牛丼屋で卵と涙をこぼし、
ゲーセンと漫画喫茶とかいうオタクの吹き溜まりで時間を潰した。
俺が休日を一人で過ごすときはいつもこんな感じである。
後はせいぜいカラオケくらい。やばい。やばいオッサンだ。
そうして約束の時間を迎えたやばいオッサンはとら婚に足を運んだ。
まず面食らったのはその場所だ。
とら婚はとある小さいビルの最上階8階にあるのだが、なんとそのビル、
とら婚以外のすべての階がメイド喫茶だったのである。
俺はキモ・オタクであるものの、メイド喫茶には行ったことがない。
ああいうのは、異世界の空気に没頭できるタイプでないと楽しめないと思うのだ。俺にはそれができない。
例えば、ホニャラランドでナンチャラーの着ぐるみに喜んで抱きつける人を見ると、ホンマかいなと思う。
俺は小さい頃からそういうことは一切できなかった。
読者諸兄も同意してくれるのではないだろうか。
それができるのが"社会性"なのだろうか?
あと、催眠音声とかもあわない。エロゲですら(声優さん大変だなあ)と素に戻ってしまう。
読者諸兄も同意してくれるのではないだろうか。
え?そんなもん知らない?そっか……。
とにかく、俺はエレベータに乗り8階へと昇っていったのだが、そのエレベータの扉にはガラス窓が開いており、中から外が見えるのだ。
なので、メイド喫茶の華やかな受付が、上から下へ次々と目に飛び込んでくる。
なんだか不安になってきた。
俺は場所を間違えていないか?
俺は本当にこれから、こんな、
お帰りなさいませ、ご主人様~♡
やら
萌え、萌え、きゅ~ん☆
やらが折り重なった異空間の直上で、
もう29歳になってしまったので……
とかいうクッソしょぼくれた結婚相談をするのだろうか。
地獄か?最上階にあるタイプの?
ーリューシ とら婚に立つー
そんな不安を抱える俺を乗せたエレベータは8階につき、扉が開く。
下駄箱と、靴を履き替えるスペースがある。
目の前には「とら婚は今まで3XX組のカップルを成立させてきました」と書いてあるボードが立っている。
ここで間違いはないのだろう。すこしホッとする。
しかし何も案内がないので、おかなびっくり出されているスリッパに履き替え、中に入る。
左右を見渡すと、奥の方で男女のスタッフが2人、ラフな格好で立ち話をしているのが見えた。俺の他に客はいないようである。
俺が声を上げて予約していたものだと伝えると、こちらに気づいたようで、はーいお待ちしていました、とそのまま返事を返してくる。
反対側の奥の応接スペースで少し待ってくれとのことだ。
なんだかおざなりな対応だ。
もっと、金づるがやってくるぞと手ぐすね引いて待ちかまえられているかと思っていたので、少し拍子抜ける。
恐らくここで相談を行うのであろう応接スペースは下駄箱のすぐ裏にあった。
向かい合った幅広のソファの中央に低い長机があり、アクリルの仕切りが置かれている。オープンであり、会話は周りに聞こえるだろう。
ううむ。本業であるゼクシィと、副業でやっているとら婚とを比べるのも酷な話だが、どうしても色々な面で午前との差を感じる。
まあオタクは雑な扱いをされる方が安心するというのがあるかもしれない。
そうだ。なまじ午前に一般人と同じ扱いを受けてしまったから些細なことが気になるのだろう。
そうだ。俺は"こちら側"なのだ。思い……出した!
ー相談開始ー
そんなことを考えているうちに、男性の方のスタッフがやってくる。
簡単に挨拶をしたところで「まずは私の自己紹介をさせてくれ」と言ってくる。
え?そっちの?
彼は元々とらのあな本店の方で働いていたらしい。それでこのとら婚サービスを使ってめでたく結婚をし、それをきっかけにこちらに異動した、ということを説明される。
後の逆質問の時間で聞いたが、彼の年齢は30代半ば。お子さんもいて、カワイイ盛りらしい。
こちらからも聞いといてなんだが、他人の家庭の話、マジで興味がない(失礼)
そうして、本格的に相談が始まり、
もう29歳になってしまったので……
とかいうクッソしょぼくれた訪問理由の説明などをまずして、
訪問日前に記入しておいたWebアンケートの確認に移った。
内容はゼクシィで書いたものとおおむね同じで、俺の身長やら、年収やら、休みの日やら、恋愛遍歴(ない)やら、相手に望む条件(年齢・体型・学歴・喫煙飲酒の有無など)やらである。
ただ、「好きな作品名」の欄があるのだ。
俺がとら婚に期待しているのは正にここである。
ゼクシィではせいぜい「趣味:アニメ・ゲーム(やばい字面だ)」程度にしか書けないが、
とら婚ならば具体的な作品名を書いたり、音ゲーの機種名やらソシャゲ名やら具体的なジャンルを細かく書いてもいいだろう。
今回の相談ではそこを拾ってもらって
「〇〇は女性人気も高いですよ~!」や
「××好き珍しいですね!ちょうど××好きな男性を探してる女性がいるんですよ~!」
などという情報を得られるのでは、というところを期待していた。
なので、皆様御存知あのタイトルや、これ知ってたら結婚しますレベルのニッチなモンも書いておいた。
さて、向こうのリアクションはどうだ……?
「呪術廻戦お好きなんですね!いいですね~!私もなんですよ~!」
……
いや、
お前の好みは聞いとらんわ!!
……ここで補足しておくが呪術廻戦はもはや鬼滅やワンピと同じく、普段はオタク文化に触れない一般人にも広く親しまれるようになった大人気作品である。
そして俺レベルのこじらせた逆張りオタクになると、流行り過ぎたものを好きというのは負けた気分になるので、「好きな作品は呪術廻戦です」などというのは、ジャブというか、撒き餌というか、第一打にオタ風を切るようなもんである。
あれだ。デッキレシピを見せたら4積み安定の超絶メタカードに食いつかれた感じだ。
そこに食いつかれても逆にびっくりするまである。
とにかく言いたいことは、呪術廻戦なんてのは表層であり、本当に触れてほしいのは深層だということなのだが、
さて、残念ながら好きな作品について触れたのはそれくらいだった。
オタクはこういうのウキウキで書いてくるんだから、スタッフの好みにしてももうちょい深いところまで潜ってきてほしかった。
ただ、俺もさすがにこのあたりで「お前の情報には興味ないんじゃい」オーラがだいぶ出てしまったのかもしれない。若干白目を剥きだしていた気がする。
とにかく、好きな作品が合う相手を探す、ということができないように感じたのが一番残念に感じたところだった。
ーシステム・料金の説明ー
続いて入会後のシステムの説明を受ける。
このあたりはゼクシィと全く同じだった。
・独身証明書などの必要なものを揃え、
・見てくれをプロの手によってどうにかこうにか見られるレベルにして写真を撮り、
・プロフを作成し、
・プロフを見て気になる相手がいたら会う希望を出し、
・有ってみて気に入ったらマッチング成立。数度のデートを重ね、
・これだと思ったら1人に集中して真剣に交際し、
・成婚して退会
という流れだ。
さて、ここでお待ちかねの料金タイムである。
ゼクシィが
・入会金 33k
・①の写真撮影が12k前後
・月額 10k→17k(前述したアドバイザーを専任で1人つけると+7k)
・退会費 なし
というお値段だったのに対し、
オタクを相手取るとら婚の料金設定は一体いくらになるのか。
ドゥルルル……
・入会時必要総額 180k
・月額 17k(アドバイザー付属)
・退会費 220k
うおっ……
でっか……
マジ?流石に驚いた。桁を間違えたのかと思う。完全に白目を剥いた。
オ、オタクを結婚させるというものは、ここまで桁違いのコストがかかるのか……そっか……さもありなん……
申し訳ないが、この時点で完全にとら婚の線は消えてしまった。
一応割引プランがいくつかあり、とらのあなやFantiaと付き合いがあるクリエイターなら半額になったりする。
俺についても「私と同じ呪術廻戦がお好きということで、趣味熱中割の10%割引を適用させていただきます」と言ってくれたが……そうね……固定費が40kも安くなっちゃう……嬉しいな……。
とら婚のメリットとしては、もちろんオタク同士のマッチングができるというところにあるのだろうが、その中でも特に以下のような"クリエイターが婚活しやすい"というところにあるのだろう。
https://twitter.com/amifiance/status/1490878022777737217?s=20&t=5UN7FL1xPmCOdNEbQJmsDQ
https://twitter.com/pjaniishimo/status/1489921526082457604?s=20&t=5UN7FL1xPmCOdNEbQJmsDQ
結婚する上では相手の本業・副業は(特に男性ならば)非常に重視されるものであり、その説明がスムーズにいく相手の中から希望を募ることができる、というところだろうか?
それにしてもこの価格。
入会金の時点でかなり高額なので、本当に背水の陣というか、何が何でも結婚するのだという覚悟を完了した人間でないと、そうそう出せない額だと思う。
逆に言えば、それだけの覚悟を持って入会している人が、本気で相手探しをしているのだ。
”彼女作りに手を出してみようかな、ほんで青春的なイチャイチャウフフがしたいなあ”程度の無礼た覚悟で冷やかしで入っていい場所ではないのである。
考え方がズレていた。
婚活を無礼ていた。よくわかりました。(まだわかっていない)
ー衝撃の事実ー
俺の気分は消化試合になってしまったが、質問タイムを迎える。
システムは同じで、そこについての質問もゼクシィで概ねしていたので、こちらでも同じ質問をしてどういう返答の差が得られるかをみるのだ。
特に気になるのは、入会~マッチング成立~成婚までのスピード感だ。月額料金にも関わるところである。
最初からオタク同士という強力なバフがあれば、スムーズに運ぶものなのだろうか?
ぼく「ほお、マッチングをしてから、6ヶ月で成婚なんですか……早いもんなんですね?」
ゼクシィとほぼ同じ答えが返ってくる。あちらは最大でも9か月、大体6か月だという答えを返していた気がする。
たった半年か。俺は結構早いような印象を受ける。そんな一致をするものなのか?
まあ成婚と言っても本当に結婚をするわけではないということだから、そこらへんに本気になるかどうかの閾値があるのだろうかと思ったが……詳しく話を聞いて驚いた。
ぼく「え!?結婚相談所って、マッチング成立から6か月以内に成婚するかを決めなくちゃダメなんですか!?」
まさか!ゼクシィではそんなこと……『マッチングをしてから6ヶ月くらいですね。長くて9ヶ月です』と言っていたはずだ!
とら婚のスタッフ「確かにコロナ禍ということで3か月の特別延長は可能ですが、基本的には6か月で決めないといけません」
なんと……「長くて9か月です」と言い切っていたのはそれか。本当は6(+3)がデッドラインだったのだ。
ゼクシィも提携している日本結婚相談所連盟(IBJ)のルールなのだそうだ。
あの時の俺はすぐに金勘定を始めてしまったので(前回の記事参照)、スタッフの言い方の違和感に気が付かなかった。
アベレージで6か月だと思ってた俺はあまりのスピード感に面食らう。
だって半年以内でこの人に決めようってなるか?一生の相手だぜ?成婚したら成功報酬220kだぜ?取り返しがつかんぜ?まじかよ。
すみません!確認しますが、"成婚"ってのは、"実際に結婚する"って事じゃないんですよね?
ぼく「え!?成婚ってお互いの両親への挨拶を済ませた状態なんですか!?」
それ……それもう、結婚じゃん!?!?
……
……
……ゼクシィのスタッフは、俺が「婚活」という活動を無礼腐った、金勘定しかできないへっぴり腰の童貞ちんぽこ野郎だと見抜いたのだろう。
だから”実際に籍を入れる状態ではない”とか、"大体6か月、長くて~"のようなボカした言い方をしたのだ……。それでズレた考え方をしていた俺はまんまと丸め込まれたわけだ。
そうなのか。普通の人は、ン十万出して、いい人見つけたら半年くらいで親の挨拶までも済ませたいもんなのか。そういう覚悟と根性でやっているんだ……。
てっきり、成婚って、「同棲してみようかな」とか、そういうレベルかと思ってた。
真剣交際→成婚→同棲(1年~程度)→結婚、的なプロセスかと勝手に思ってたんだよ……童貞だから……。
てっきりあれだ。人と人が結婚するってさ、デートをして、クリスマスやらバレンタインやら季節のイベントをそつなくこなし、パラメータをあげて、適切な選択肢を選び、CGを回収し、時には悪の組織を相手取ったり、1日が12時間しかない義務を解消したり、失敗すると投身自殺される好感度判定を乗り越えたり、伝説の桜の木の下で告白したりして、そうして付き合って、数年同棲してからゴールインするものかと思ってたわ。
半年って。
早い人はさっさと同棲してみて決めるんですか?凄いなあ。
ぼく「え!?成婚するまでは、同棲はもちろん、肉体関係持つのもすら禁止なんですか!?」
そんな……そんな!半年間の休日だから、せいぜい10回~20回お茶して結婚するって……??結婚するってコト!?!?!?!?
??????
完全に混乱した俺の頭の中に、陽気な歌が流れだす。
「ノリで入籍してみたらええや~ん」と聞こえてくる。
愛とか恋とかそういうのすっ飛ばして
直感で動いてみたらええやん 冷静な判断今は捨ててさあ
金銭感覚 モノの価値観 体の相性
言えない過去や消えない過去は お互いにたくさんあるけれど
入籍!入籍!入籍!入籍!入籍!入籍!
ノリで入籍してみたらええやん
後のことは責任取らんけど
ー敗走ー
俺は茫然自失になりながらもわずかばかりに残った社会性を振り絞って何とか逆質問をこなした。
そして、最後に、とスタッフから婚活アドバイスを受ける。
「悪いところに目を向けないことです。
完璧な人間はいないので、悪いところを見ようとするといくらでも見つかってしまう。
そうではなくて、いいところに目を向けましょう。
それが結婚するコツです」
なるほど。僕は巨乳キャラならどんな欠点でもだいたい受け入れられるんで、多分そういうことですね(完全に混乱してわけわからなくなっている)
真面目な話すると、たった6か月で決めるとなると、そうやってウジウジしてる暇ないんだろうな。
スパっと決めて結婚しようとしないとできないわけだ。
う~ん、そうまでして結婚したいもんなのか。
これが社会性か……………………。
面白かったので覚えているのは、俺は真面目系クズなのでずっとメモを取りながら話を聞いていたのだが、スタッフさんがそれに対して「緊張しました笑」と言ってきたことだ。
そこで俺は「記憶力が悪いのでメモを取らないと忘れちゃうんですよ~」と謙遜(事実)して言ったのだが、何を思ったかスタッフは「そうなんですね」と返してきたのだ。
そうなんですねはおかしいだろ。事実だけどさ。
ー終わりにー
対応してくださったスタッフの方々、婚活を無礼た一文にもならん冷やかし客に貴重なお時間を割いて丁寧に対応してくださり、本当にありがとうございました。
僕はまだ6か月のデートで結婚しようとは思いません。
今後何が何でも結婚したいという状況にならない限り、結婚相談所を利用することはないでしょう。
終わり。
次回、マッチングアプリ編を予定。
第一話「12000円を払って公衆の面前でマッチングアプリ用の写真を撮られよう」
乞うご期待
上記の内容は予告なく変更する場合がありますのでご了承ください
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