たかがリューシの文才で

歌えない・踊れない 悲しい”社畜”の物語

なりすましをしよう

前回までのあらすじ

3か月目のマッチングアプリの課金が切れた途端に、かわいい女の子とマッチングした。あんまり都合が良すぎて、なにやら仕組まれたものを感じるね!しかし、彼女はポケモンが趣味らしいのだが、孤独な子供時代を過ごした俺はポケモンを卒業済。このままでは話のきっかけすら掴めない。しかし、なんとその場にはアルセウスをプレイしているコミュ強S君がいるではないか。

「そうだ、なりすましをしよう!」

悪魔的発想をした俺は4か月目の課金を断行。

コミュ強トークテクを学びつつ、ワンチャンのGiantKillingも視野に入れた

サクラ(疑惑) VS ナリスマシ VS ダークライ

の火ぶたが切って落とされたのである。

 

以下本文

 

さて課金は済ませた。早速S君のお手並み拝見といこう。

まずは「よろしくお願いします」メッセージだ。合わせて「僕もポケモン好きです」という旨を伝える。すると、ちょうど向こうも暇だったのか、すぐにレスポンスが返ってきた。おお。とりあえず、いつかのハーフ美女の時のような放置プレイはされなかったので一安心だ。

そして、S君の指示するまま、メッセージを送りあっていったのだが、一回当たりのメッセージがやたら短い。ほんの一文程度だ。こんなに短くて本当に良いのか?

はたして、アッと間に「アルセウスをどのくらい遊んでいるか~」という話で盛り上がっていくではないか!

なるほど。ここが根本的に違っていたのか。

どうやら、マッチングアプリではテンポよくやり取りを進める陽キャアグロ戦術が正解だったのである。俺が得意とする、捏ね繰り回した長文を送り付ける陰キャコントロールとは概念がまるで異なっていた。

つまり、ラインのように気軽にやり取りをすればよかったのだ。しかし俺はぼんやりと文通のような認識を持ってしまっていたのだ。勿論、文通の方が性に合う女性もおられるだろう。が、他ならぬ俺自身が長文を書こうとすると「何を書けば良いんだ」と頭を抱えてテンポを悪くしがちのである。気づけば簡単な話なのだが、目から鱗であった。

平日はなかなか難しかろうが、お互い時間が合うようであれば短文をテンポよく送りあう方が良い。大変勉強になった。

 

そうしている内にS君とは解散しなければならなくなった。なぜなら、子供部屋おじさんの俺とは違って、彼は実家が近いにもかかわらず独り暮らしをしている自立した男なので、買い物やらをする必要があるのだ。(何もかも負けている……)

ただ、サイゼを出て帰路についている最中も「彼女からこんな返事が来たぜ」とS君にラインを送って指示を仰ぎ、代筆を続けた。中間者攻撃ってやつだ。懐かしい。大学でも似たようなことをしていた。A君のレポートを貰ってB君に渡し、見返りに貰ったB君のレポートをA君に渡して単位を稼いでいたものだ。(何もかも終わっている……)

しかし、その中間者攻撃もS君が最寄り駅に着いてしまったことで終わりを告げた。ここからは俺自身の力でやり取りを続けていかなければならない!

しかし、気になっていることがあった。それは、質問が返ってこないことである。ずっと、こちらの質問に向こうが答えているばかりなのだ。

今までもこういう状態になったことはあったが、非常につらいのだ。質問のネタも無くなっていくし、こちらに興味がないのだろうか?と思ってしまう。質問文に対し質問文で答えると0点なのはテストだけだ。How are you?って聞かれたら回答の後にand you?って返せって英語の授業で学ばなかったか?

これでは壁にボールを投げている方がなんぼかマシである。なので、頃合いのいいところで、試しに質問文でない形でメッセージを送ってみた。さあどうなる?

 

そこでぱったりと返事が来なくなった。

終了である。

そう。ここで終わりだ。そうだとも。今更、未練たらしく質問文を飛ばし直すことなどできるものか。それは完全なる敗北である。恋愛戦争から逃げ、寂しさに負け、人恋しさにも負け、マッチングアプリという敗者復活戦でも大敗を喫している身だが、俺にだって最後の意地がある。意地があんだろ!男の子には!

 

結局、成りすましをしたところで、メッセージの考え方を改めることはできたが、淡白なQ&Aにしかならなかった。難しいなあ。マッチングアプリ

 

しかし、これで4か月目の課金もふいになることは確定的だろう。『いやいや、前回言っていた「アークナイツ」金脈はどうした』と指摘される読者諸兄もいらっしゃるだろう。しかし、残念ながらそこはもう掘りつくしてしまったのだ。全体の女性登録数は200超だったとはいえ、年齢・住まい・ログイン状況を鑑みると、そこまで候補者が多くなかった。せいぜいが2、30人というところだったが、その尽くで空振ってしまった。

趣味が合う女性からも魅力的に思ってもらえないって、もう終わってるだろ。

結局、金と時間と労力と精神をすり減らしただけで、1度のデートもできなかったな……。

 

 

そんな感じで諦めムード漂っていた状況が、あるとき一変した。

 

ある人からいいねが来た。顔写真はないが、"いいね"もダダ余りだったのでマッチングを成立させた。

とりあえず適当に「"いいね"ありがとうございます~」と挨拶をしてみたところ、

 

「プロフのひなビタ写真を見て、反射的に"いいね"をしてしまいました」

 

おい!

おいおい!

おいおいおいおい!

来た!来たぞ!

『間違いなく一般受けはしない。どころか知らぬ人が見ればマイナスイメージにもつながりかねん。アップするリスクが高すぎる』

と悩んだものの、引けば老いるぞ臆せば死ぬぞの精神でアップしたこの写真が活きた瞬間が!

ようこそ!

ようこそ倉吉へ!!!!

 

これぞ千載一遇の好機!

それが今俺の目の前にぶら下がった!

今こそ、好機を捉えて行動に出なくてはいけない!

 

俺はこの人をデートに誘うことにした。

 

次回

デートに誘おう

 

今回みたいに短くてもいいから、もっと更新頻度を上げていきたい。

更新してない週末にアクセスされてるの見ると申し訳ねえな~と思います。

いつも"いいね"やらリプやら何らかのリアクションを下さっている方、ありがとう。励みになってます!

特に下さってない恥ずかしがり屋さんも、読んでくれるだけで嬉しいです。ありがとう。励みになってます!