たかがリューシの文才で

歌えない・踊れない 悲しい”社畜”の物語

デートに誘おう

ワクチンの副作用やら普通の体調不良やらで1か月も空いてしまった。更新頻度上げるという意気込みは何だったのか。

 

前回までのあらすじ

いい年こいて彼女の一つも作らずゲーセンなんぞに足繁く通い、「音ゲー」とかいう陰キャど真ん中の趣味を卒業できていない俺。

やめときゃいいのに、"ひなビタ"の聖地である"倉吉"に旅行した時の写真をマッチングアプリのプロフにあげてしまう。

決してそれだけが理由ではないだろうが、恋活は上手くいかず苦しんでいた。

「短くてもいいからこまめにメッセージを送れ」という当たり前のテクニックに気づくのにすら4か月もかかってしまい、時すでに遅く「アークナイツ」好き女子という希少な可能性の悉くをふいにしていた。

諦めの境地に至っていた俺の目の前に、突如として好機がぶら下がる。

 

「ひなビタの写真を見て思わず"いいね"してしまいました」

 

ようこそ

ようこそ倉吉へ

 

俺はこの人をデートに誘うことにした!

 

以下本文

 

ついにこの時が来た。今までの反省を活かし、長文すぎないように気を付けながらお相手(Uさん)とテンポよくメッセージのやり取りをしていこう。

Uさんの「人となり」を掴み、い~い感じの頃合いを見計らって、スマートにおデートに誘うのだ!

 

まず、当然の流れとしてひなビタで何の曲が好きかという話になった。

さて、「どういう曲が好きですか?」なんていうのは巷でもよくある話題だが、俺はこの質問は非常に奥深いと思っている。

音楽の好みは人を表す。聞けば、どこぞの国のむにゃむにゃ大学のナントカ教授が、「音楽の嗜好と性格には、関係があるのではないか?」という意見を発表したとかしていないとか(ペラペラな根拠)

特に音ゲー好きにとって「何の曲が好きか」というのはとても重要だと思う。その曲のジャンルはもちろん、歌詞やアーティストのみならず、BPMや譜面の難しさからも、その「人となり」がうかがえる!かもしれない(フワフワな主張)

 

はたして、Uさんは「めうめうぺったんたん!!」が好きらしい。おおーっ!!

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「めうめうぺったんたん!!」

言わずと知れた、みんな大好きひなビタ♪の切り込み隊長とも言える曲。

『胸もハンコもぺったんだめう~!』から始まるハチャメチャにノリのいい超絶電波ソング。この曲で「電波曲」や「ひなビタ」という概念に触れた読者諸兄も多いのではないだろうか。かくいう私もその類である。

合言葉は「萌え興し」

 

しかし、この曲がイチ推しか。女性でこれは難しい……難しくない?

男の音ゲーオタクから「一番好きなひなビタ曲は「めうめうぺったんたん!!」です」って言われると「あー、ハイ」となるが(伝われ)、女性でこれはわかんないよな。

まあ、そも女性のことなんて何一つわからないんですけどね。

多分、明るい人なんだろうなーって、感じ?(フワッフワ)

 

さて、Uさんはちゃんと「そちらは何の曲が好きなんですか」と逆質問を返してくれた。And you?の精神。本当にありがたい。それに絵文字も使わない。本当にありがたい。

やはり、ひなビタ好きに悪い奴はいねえわ。

 

で、俺が好きな曲は、

ひなビタ♪界のエモの核弾頭

「走れメロンパン」です

youtu.be

 

あああ!あああああ!これマジ好きなんですよ。イントロの「テテテー♪」を聞くだけで、脳内物質がドバドバ流れてくるぜ。駆け巡る脳内物質っ………!リジン、ロイシン、メロンパミンっ………!

歌詞もやばいぜ!?『私が男の子だったら、君に告白とかするのかなっ?』だぜ!?!?おいおいおい。法で規制されちゃうよ。

その続きなんて、あまりにEcchiすぎてとても俺の口からは語れない。無法地帯かよ。

We are best friends foever...

 

さて、本題に戻ろう。流石にこんな変態の臭い立つ思いの丈をそのまま送り付けたら、返しの「あーハイ」でやり取りが終了してしまうので、

『ひなビタライブに行った時も、メロンパンのイントロ聞いた瞬間に(うおーっ!)となっちゃいました(笑)』

くらいに留めて(?)おいたが、Uさんはひなビタのライブに行ったことはないらしい。

余談。(笑)なんていつの時代だよと思いながらも、マッチングアプリでは使わざるをえない。

だって「w」はいきなりは使いづらい……使いづらくない?

陽キャはなんて書いてるんですか?

 

これは失策。あわよくば「私もライブ行きました!」となればと期待したが、ライブの存在も知らなかったようだ。

もしかしたら、ひなビタは知ってるというだけで、メチャクチャ好きって程ではなかったのかもな。いかんいかん。オタク特有の悪い掛かりが出てしまった感ある。

軌道修正をしなければ。

 

ただ、少なくともひなビタをご存じということは、BEMANI機種をプレイしているということだろう。何の機種を演っているんですかと聞くと、

DDRです」

とおっしゃる。

 

DDR !?

ご存じ前後左右のパネルを踏むダンス?ゲームだ。

昨年の健康診断からウエストが3.4cmも増えてしまい、名実ともにオッサンになることを危惧した俺が最近頑張っている機種でもある。ますます運命感じちゃうね。

断っておくが、俺は貧弱体質であるものの運動自体は嫌いではない。ただ、終わっている社会不適合者である故、体育の授業やら、1年で辞めた部活やら、運動会やらでは、ここですら語ることを憚られるロクでもない所業の限りを尽くして各方面に迷惑と不愉快な思いをかけまくっていた。こんな人間が、人と関わるスポーツをしてはいけない。

その点DDRは素晴らしい。独りで完結できるという点だけなら、筋トレやジョギングも悪くはないが、スコアという数値で体力やテクニックの成長を可視化できる点がいい。

何より曲に合わせて体を動かすのが楽しい。

でも走れメロンパンは収録されていない。なぜだ。

 

でも、女性がDDR。無論、悪いなどと言うつもりは毛頭ないが、音ゲーやってる女性という時点で相当珍しいのに、DDRときたか。

女性はだいたいポップンやってるという偏見を持っていたが、もしや体育会系の方なんだろうか?だとしたら俺と対極的だ。

 

で、俺が「私もDDR最近ハマってるんですよ~。何の曲が好きですか?(ワンパターン戦法 -99点)」と聞いてみたところ。

 

Monkey Businessです

 

Monkey Business……

 

Monkey Business?

 

Monkey Business !?

Monkey Business好きな女おる!?

 

 

DP赤譜面クリアできます

 

DP赤譜面クリアできます!?

 

左右振り、渡り、遠配置、ひねり、八分滝、ソフラン(停止、減速)、縦連

DDRの難属性をクソほど詰め込んだMonkey BusinessのDP赤譜面(難易度13)クリアできる女おる!?

↓参考動画↓

youtu.be

 

これは参った。俺はまだSP(片側4枚のパネルだけで遊ぶやつ)の、難易度10や11でヒイヒイ言いながらくさった死体の死の踊りをやっている段階だ。格がちげえ。

Monkey Business好きな人の「人となり」はもう全然わからんけど、少なくともDDRガチ勢だよ。リスペクトすべき存在だ。

 

あまりのレベル差に圧倒されかけたが、ここで黙り込んでテンポを悪くしてはいけない。奮い立て!成りすましの経験を活かすんだ!

 

Monkey Business好きなんですね!いい曲ですよね!私はDDRならPOSSESSIONとか好きですね!Uさんも好きですか!?いい曲ですよね!あっ、漫画も読まれるんですね!どんなのが好きなんですか?(ワンパターン戦法 -99点)

ベルセルク!? 

マジ!?渋ッ!

いや面白いですよねベルセルク!私も今ちょうど蝕のあたり読んでるんですよ!

 

こんな感じで、今まで他の女性とやっていたワンバウンドのキャッチボールのような軽い会話はそこにはなく、思わぬ剛速球が次々ストライクゾーンに投げ込まれるので逆にビビッてしまう。

 

いや、でも、いいよ。

いいんじゃないですか?

このUさん、最初から好感度高かったが、どんな方なのか益々興味が湧いて来た。

まだやり取りを初めてたった二日程度だが、(逆にこっちの球威が足りないんじゃないか)と心配になるくらい本気のやり取りができている、気がする。

 

これは?いくか?誘ってみるか?

いやいや、まだ二日じゃんか、様子を見ようぜ、と臆病心が耳元で囁いているが、黙れ!日和って魚を逃がすのは既にやった!

最初に誘うと誓ったろ!

倉吉に!

 

それでも、ググった通りに認めた『もし宜しければ、今度の休みに軽くお茶でもしませんか』のお誘いメッセージの送信ボタンを押す直前の姿勢でたっぷり3分ほど逡巡したが、

「ええい、ままよ!」

の掛け声と共に(本当に言った)送信ボタンを、

押下した。

 

ああ、この世に生を受け29歳と7か月。

スマートさは欠片もなかったが、初めて異性をデートに誘った。誘ったぞ!

もういい。十分だ。お前はよくやった。偉いよ。

多分、画面の右上に実績解除のトロフィーが出たぜ。かけた金の元は取った。

たとえ断られても凹むな。負けたことがあるというのがいつか大きな財産に

 

「いいですよ」

 

 

 

次回

「デートの準備をしよう」

 

一難去ってまた一難。期待と不安を胸に「スマートなデートプランとは何ぞや?」という根源的な謎に立ち向かう俺は、当日の話題を如何せんと今更Uさんのプロフィールを詳細に見ていくのだが、そこにとんでもない情報が書いてあるのを発見してしまう。

 

今度こそ早めの更新がしたい。

いいねやコメントで著者にプレッシャーをかけよう!

なりすましをしよう

前回までのあらすじ

3か月目のマッチングアプリの課金が切れた途端に、かわいい女の子とマッチングした。あんまり都合が良すぎて、なにやら仕組まれたものを感じるね!しかし、彼女はポケモンが趣味らしいのだが、孤独な子供時代を過ごした俺はポケモンを卒業済。このままでは話のきっかけすら掴めない。しかし、なんとその場にはアルセウスをプレイしているコミュ強S君がいるではないか。

「そうだ、なりすましをしよう!」

悪魔的発想をした俺は4か月目の課金を断行。

コミュ強トークテクを学びつつ、ワンチャンのGiantKillingも視野に入れた

サクラ(疑惑) VS ナリスマシ VS ダークライ

の火ぶたが切って落とされたのである。

 

以下本文

 

さて課金は済ませた。早速S君のお手並み拝見といこう。

まずは「よろしくお願いします」メッセージだ。合わせて「僕もポケモン好きです」という旨を伝える。すると、ちょうど向こうも暇だったのか、すぐにレスポンスが返ってきた。おお。とりあえず、いつかのハーフ美女の時のような放置プレイはされなかったので一安心だ。

そして、S君の指示するまま、メッセージを送りあっていったのだが、一回当たりのメッセージがやたら短い。ほんの一文程度だ。こんなに短くて本当に良いのか?

はたして、アッと間に「アルセウスをどのくらい遊んでいるか~」という話で盛り上がっていくではないか!

なるほど。ここが根本的に違っていたのか。

どうやら、マッチングアプリではテンポよくやり取りを進める陽キャアグロ戦術が正解だったのである。俺が得意とする、捏ね繰り回した長文を送り付ける陰キャコントロールとは概念がまるで異なっていた。

つまり、ラインのように気軽にやり取りをすればよかったのだ。しかし俺はぼんやりと文通のような認識を持ってしまっていたのだ。勿論、文通の方が性に合う女性もおられるだろう。が、他ならぬ俺自身が長文を書こうとすると「何を書けば良いんだ」と頭を抱えてテンポを悪くしがちのである。気づけば簡単な話なのだが、目から鱗であった。

平日はなかなか難しかろうが、お互い時間が合うようであれば短文をテンポよく送りあう方が良い。大変勉強になった。

 

そうしている内にS君とは解散しなければならなくなった。なぜなら、子供部屋おじさんの俺とは違って、彼は実家が近いにもかかわらず独り暮らしをしている自立した男なので、買い物やらをする必要があるのだ。(何もかも負けている……)

ただ、サイゼを出て帰路についている最中も「彼女からこんな返事が来たぜ」とS君にラインを送って指示を仰ぎ、代筆を続けた。中間者攻撃ってやつだ。懐かしい。大学でも似たようなことをしていた。A君のレポートを貰ってB君に渡し、見返りに貰ったB君のレポートをA君に渡して単位を稼いでいたものだ。(何もかも終わっている……)

しかし、その中間者攻撃もS君が最寄り駅に着いてしまったことで終わりを告げた。ここからは俺自身の力でやり取りを続けていかなければならない!

しかし、気になっていることがあった。それは、質問が返ってこないことである。ずっと、こちらの質問に向こうが答えているばかりなのだ。

今までもこういう状態になったことはあったが、非常につらいのだ。質問のネタも無くなっていくし、こちらに興味がないのだろうか?と思ってしまう。質問文に対し質問文で答えると0点なのはテストだけだ。How are you?って聞かれたら回答の後にand you?って返せって英語の授業で学ばなかったか?

これでは壁にボールを投げている方がなんぼかマシである。なので、頃合いのいいところで、試しに質問文でない形でメッセージを送ってみた。さあどうなる?

 

そこでぱったりと返事が来なくなった。

終了である。

そう。ここで終わりだ。そうだとも。今更、未練たらしく質問文を飛ばし直すことなどできるものか。それは完全なる敗北である。恋愛戦争から逃げ、寂しさに負け、人恋しさにも負け、マッチングアプリという敗者復活戦でも大敗を喫している身だが、俺にだって最後の意地がある。意地があんだろ!男の子には!

 

結局、成りすましをしたところで、メッセージの考え方を改めることはできたが、淡白なQ&Aにしかならなかった。難しいなあ。マッチングアプリ

 

しかし、これで4か月目の課金もふいになることは確定的だろう。『いやいや、前回言っていた「アークナイツ」金脈はどうした』と指摘される読者諸兄もいらっしゃるだろう。しかし、残念ながらそこはもう掘りつくしてしまったのだ。全体の女性登録数は200超だったとはいえ、年齢・住まい・ログイン状況を鑑みると、そこまで候補者が多くなかった。せいぜいが2、30人というところだったが、その尽くで空振ってしまった。

趣味が合う女性からも魅力的に思ってもらえないって、もう終わってるだろ。

結局、金と時間と労力と精神をすり減らしただけで、1度のデートもできなかったな……。

 

 

そんな感じで諦めムード漂っていた状況が、あるとき一変した。

 

ある人からいいねが来た。顔写真はないが、"いいね"もダダ余りだったのでマッチングを成立させた。

とりあえず適当に「"いいね"ありがとうございます~」と挨拶をしてみたところ、

 

「プロフのひなビタ写真を見て、反射的に"いいね"をしてしまいました」

 

おい!

おいおい!

おいおいおいおい!

来た!来たぞ!

『間違いなく一般受けはしない。どころか知らぬ人が見ればマイナスイメージにもつながりかねん。アップするリスクが高すぎる』

と悩んだものの、引けば老いるぞ臆せば死ぬぞの精神でアップしたこの写真が活きた瞬間が!

ようこそ!

ようこそ倉吉へ!!!!

 

これぞ千載一遇の好機!

それが今俺の目の前にぶら下がった!

今こそ、好機を捉えて行動に出なくてはいけない!

 

俺はこの人をデートに誘うことにした。

 

次回

デートに誘おう

 

今回みたいに短くてもいいから、もっと更新頻度を上げていきたい。

更新してない週末にアクセスされてるの見ると申し訳ねえな~と思います。

いつも"いいね"やらリプやら何らかのリアクションを下さっている方、ありがとう。励みになってます!

特に下さってない恥ずかしがり屋さんも、読んでくれるだけで嬉しいです。ありがとう。励みになってます!

反省をしよう

前回までのあらすじ

七転八倒拷問撮影に耐えてマッチングアプリ用の写真を用意したものの、
①いいねが返ってこない
②メッセージのやりとりが怠い
③デートに誘うタイミングが分からない
の三段クルーンに阻まれ、
番市場における己の価値がいかに低いかということを痛感した以外、何の成果も得られないまま3か月の有料会員登録期間が終了してしまった。

 

すべての写真が「カメラ目線でない」ことにお気づきだろうか。それが最近の流行りなのか

翻って俺の写真は、2枚とも虚ろな目でがっつりメンチを切っていた

 

1.俺の心がやばいヤツ

気づけば3月も半ばを過ぎている。俺の心は傷ついてた。

就活は嘘つき合戦だったので、"虚構という鎧""心という器"を護ることができた。

しかし、恋活では「正直な自分で勝負したい」などと寝言をほざいて、なまじ素に近いプロフを武器に戦ってしまった。その結果、ダメージをライフで受けてしまったのである。

足あと履歴は見れるので、"いいね"を送った人が写真やプロフィールを見てくれたことはわかるが、それで”いいね”が返ってこない。この事実が俺を苦しめた。

おまけに、極稀に"いいね"を返してくれた相手としこしこメッセージのやり取りをしても話が弾まないときた。

見てくれも生き様も会話内容すら魅力がないことを突き付けられる。

なにがいいねだ。なにもよくねえよ。

心がすさむ。

 

う~ん!確かに!

責任者に問いただす必要がある。責任者はどこか。

 

”いいね”が、どのくらい返ってこないか。

公式から送られる、月1の30"いいね"付与メールにこんな記載があることに最近気づいた。

 

....*.....*.....*.....*.....*.....*.....*.....*.....*.... *.....*....

30名に「いいね!」をすると…

平均3~4名様のお相手とマッチングをしています

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

 

平均で1/10て。沼の3段クルーンだって1段目は1/3あるのだぞ!

仮初でもいい、もっと希望を持たせてくれ。

おまけに、俺の場合はGiantKilling狙いのワンチャン"いいね"が多いので確率はもっと下がる。

普通の人ならガチャでSRを引くくらいだろうが、俺の場合はまずSSRを引くところから勝負が始まる。グラブルか?

 

ちなみに『ぼくヤバ』の山田は白井球審も文句なしのドストライクであるため、最新話を読んだ後は俺の情緒がやばいヤツになってしまう。なので直ちに『鬱ごはん』を摂取して気を落ち着けている。

ありがとう施川ユウキ

mangacross.jp

『以前もこれからも、黙食ひとり飯。』

素晴らしいキャッチコピーだ。

 

桜井のりおは最近女性だと知ってびっくらこいた。

 

2.ぼくの100日間婚活

前回の投稿ではキンクリさながら時間を吹き飛ばしてしまったが、

自戒の念を込めて何の成果も得られなかった3か月をここに書き記しておく。

 

思えば俺の恋活は出だしから盛大に躓いていた。

セコい話になるのだが、課金をし始めた12月初旬の時点で、向こう3か月分を纏めて課金すればいくらかの割引を受けることもできた。

しかし、恋活をなめ腐っていた当時の俺は

「12000円も払ってまともな写真を用意したのだから、ちょっと本気を出せば♡性の六時間♡くらい造作もないことだろう」

とクリスマスケーキよりも甘くてふわふわな見通しを立てたために、1か月分しか課金しなかったのである。今から思えば勿体ないことをした。

運営も『恋人ができるのは平均で4か月です』と教えてくれたのに。

あの時の謎の自信はどこから来ていたのか。撮影拷問を耐え抜いたことで、怖いものなし状態になっていたのだろうか。

今は自分の将来を思うと怖さで震えが止まらないよ。

 

思えばこの時が一番モチベーションがあったが、始めたばかりの2週間程度では、当然お話にならなかった。ただただメッセージのやり取りが怠いということだけが分かった。

 

結局、私は20代最後の♡性の六時間♡をいつものように不貞寝をして過ごし、

晦日は、こんな宿主を持ってしまったためにその才能を発揮する場を失ってしまった哀れなジョニーを慰めるために、冬コミを駆けずり回って薄い本を片っ端から買い漁り、

 

そしてトラウマスポット東京駅から新幹線に乗り、

親戚の集まる岡山で新年を迎え、(流石に薄い本は実家に置いて来た)

そこで3つ下の従姉妹の結婚報告を聞かされ、

(お前はいつになったら嫁を連れてくるんだ)というプレッシャーに晒され、

「こうなったら神頼みだ!」と初詣の際に御神籤を引いたものの、テキストには

『恋愛:良い人です信じなさい』

不正な対象が指定されていたため、立ち消え※した。

※立ち消え(fizzle):対象をとっている呪文や能力は、解決時に全ての対象が不正な対象になっていた場合、その呪文や能力は解決されない

 

そんなこんなで、あれよあれよという間に1月目の課金期間が終了。

そして現実を受け入れられないうちに勝手に2か月目の課金期間が始まっていた。

退会しなければ勝手に有料会員登録は継続される。課金期間中に退会しても、一度払ってしまった料金が日割りで返ってきたりはしない。

なんともよくできたシステムである。

したがって、腹を決めて2か月目の婚活戦争に身を投じるしかないのだが、♡性の六時間♡という当面の目標を見失ってしまった俺のモチベーションは恐るべき低空飛行だった。

 

モチベを得るきっかけにならないかと麻雀仲間(全員独身)に相談してみたこともあったが、

「軟弱なことをするからそういうことになるのだ」「何がしたいのかわからん」「他人との共同生活など考えただけで気が狂う」「稼いだ金は全部自分のために使いたいだろ」

ぼく「う~ん!確かに!」

!!」

そこには29年間慣れ親しんできてしまった居心地のいい空間しかなかった。

勿論、我々が社会的に間違っているのだが、こうも四方八方から非モテライフを全肯定されると、間違っているのは社会の方だという気がしてくる。

おめーら……ズッ友だぜ!

 

藁を掴むにせよ、相談する相手を間違えた。

 

それでもある時、ハーフ顔の美しい女性から"いいね"が届いた。すわサクラかと思ったがプロフィールもしっかりとしている。曰く、スパルタ英会話スクールに通って語学力を磨いているらしい。なんと向上心の高い素敵な女性か。

ついに、ついに俺の人生にも"モテ期"なるものが訪れたか!29年間も待たせやがって、このこの!

色めき立った俺はいそいそとお礼のメッセージを送り、返信を今か今かと待った。

なんといっても、向こうから"いいね"が届いたのだから、これはもう激熱だ。この人に釣り合う男になれるよう、今から俺も向上心を高く持とう!英語を本気で勉強するのも悪くない!All You Need Is Love !!

 

……が、しかし、待てども待てども返事はこなかった。

何故?もしや誤タップで"いいね"をしてしまったのだろうか。それならいっそブロックしてほしかった。 仮初の希望はむしろ残酷であることが分かった。

 

結局それからモチベがあがることもなく、2か月目も

 

だが今度はちゃんと更新直前で有料会員登録を解除した。偉い。

やれやれ、結局一人とも会えずじまいだったが、現実を知ることができた。

2ケ月なら傷は浅い方だろう。仕方がない。今まで通り、非モテ街道を突き進むのみだ。甘んじて30歳の独身オッサンになろうではないか。

 

しかし、無料会員に戻ってから、そこそこの頻度で"いいね"がくるようになった。これは一体どういうことだ?あれだけやって返ってこなかったのに。

もしや、これは、運営が何か"やっている"のではないか?

サクラと断ずるわけではないが、例えばこのアプリ、毎日運営が選んだ5人に対して無料で"いいね"ができる。その際のお題目が『乙女座のあなたに相性が良いのはこの方』なのだが、その実は無料会員を優先的にピックアップして、勘違いした哀れな非モテの課金を促そうという企みではないか?

注:哀れな非モテの被害妄想

 

そうした疑念は抱きつつも、趣味の合いそうな人からくる"いいね”を放置するのも心苦しい。内容は読めないが、メッセージを送ってくれる人すらいた!たかが3700円をケチって不義理を働くのはいかがなものか。ここは漢気を見せる時ではないか!?

 

そうして俺はまんまと3か月目の課金をしてしまったのだ。チョロすぎる。

そしていつものように"いいね"を送ってくれた相手とのやり取りは玉砕した。

だが今度は無策なわけではない。作戦を練り直し、コミュニティ機能の使い方を改めることにした。

それまでは「アニメ好き」「漫画好き」のような広いコミュニティの中で相手を見繕っていたが、そこからでは「どんな作品が好きですか~?」と腹の探り合いから始めなければならぬ。するとドンドン面倒くさくなってしまうのだ。

ここは思い切って自分がハマっている作品で探してみよう。

 

俺がハマっている作品、そう。「アークナイツ」である

youtu.be

「源石」と呼ばれる特殊な鉱石が、人々に恩恵と疫病をもたらす世界。人類たちは、天災の脅威を避けるため、源石を動力として動く移動都市を中心に暮らしを営んでいた。しかし、源石に接し続けることで感染する「鉱石病」は、死後に新たな感染源ともなるため人々から忌避される。感染者を迫害と鉱石病から保護するため活動する主人公たちロドスの前に、迫害を受け続けた感染者組織であるレユニオンが新たな軍事勢力として産声を上げる……。

 

厳しい世界を舞台に女の子たちが疫病や差別や紛争と闘っていくんだぜ、最高だろうが!?

好き好んでこんな硬派で陰鬱でおまけに本格タワーディフェンスのソシャゲやってる女子おりゅ?と思っていたが、どっこい、コミュニティには200人以上の女性が所属している。まあ「アニメ好き」とかなら5万人以上が所属しているので、相当少ないことは間違いないが。

それでもここが金脈であることに疑いはない。

いわば……ゴールデンカムイ(言いたいだけ)

 

そうしているうちに一人の女性とマッチングした。御尊顔はマスクで隠していらしたのでわからなかったが、メッセージからはかなりのアークナイツ愛を感じる。推しは"ア"とからしい。あーそういう感じの癖ね。

「阿吽」のア(CV.三瓶由布子)。すげえ名前だ。

御覧の通り、見た目は人を選ぶが「自身が医者でありながら医学、または医者であることを誇りに思う者を心の中で忌み嫌っている」という背景があり、俺も性根が捻じ曲がっているからそういう歪さは大好物である。

お互い社会人なので頻繁にメッセージのやり取りはできないものの、話は弾むので一度に3つくらいの話題について「あなたは○○なんですね、私は××です。▲▼ってどう思いますか」というように書いた。お互いそんな調子だから文字数がとんでもないことになる。それが1週間くらい続く。

結構楽しい。そろそろデートに誘ってみようか?

しかしはっきりとは顔が分からないところが面食いの俺の足を鈍らせる(最悪)。だって、いざ会ってみて即座に微妙だなーってなるとめっちゃ気まずいやん?

かといって「顔写真下さい」なんて中々切り出せるものではない。

そもそも、いつくらいからデートに誘うのを切り出せばよいのか?ググってみると10日くらいらしい。そんなに長いのか?今までは3日4日で脱落していたのだが、全然話にならなかったということか。

しかし、文章量で言ったら10日とか言うレベルではない。ならばそろそろいいだろう!と、重い重い腰を上げたのだが、まあ前回も書いた通り、

丁度退会済みになっていたのだった。

実に痛恨であった。

バッサリ希望を断ち切られてもそれはそれで辛い。

婚活はどうあがいても辛かった。

 

後日、S君に「この人とはあと一歩だったんだ。結構話も弾んでいたんだぜ」とメッセージの履歴をさっとスワイプして見せたのだが、あまりの文章量に引いていた。

好きなことを語らせると早口長文になっちゃうタイプのオタクなんだよな。

つくづく惜しいことをしたと思っている。

 

そして失意のままに3か月目が終了し

何回この画像貼るん?

 

3.サクラ大戦

こうして3か月目が終わってしまったのだが、再び無料会員になった瞬間にかわいい女の子から"いいね"が来た時に、さすがに気づいた。

これは運営さんやってますわ!サクラですわ!

注:哀れな非モテの被害妄想

その日は仕事終わりにS君とサイゼで飯を食ったので、「ほらね。こういうことなんだよ」と見せてみたのだが、そこでS君が彼女のプロフの『ポケモンが趣味』というところに食いつき、流れが変わった。

 

ちなみにポケモン趣味の女性は結構いた。ポケモンと同じでアークナイツも動物をモチーフにキャラメイクしてるから流行りませんか?ポケモン図鑑に当たるところの人事プロファイルに戦闘経験年数病状進行度が載っている時点で無理か。

ただ、俺はポケモンは子供時代に金銀まで遊び、大学時代にサンムーンを少し遊んだ程度だ。趣味とは言えない。

金銀かあ。懐かしい。ストーリーを何周もしたものだ。

当時は純真だった俺の、いや純真だったか?幸せな思い出が、幸せな?思い出が??いや、どうだったかな。交換して遊ぶ友達とかいなかったし、ポケモンカードなんかも集めてたけど終ぞ対人をすることもなかった。後はポケモンスタジアムをよくプレイしていたけど、ひたすらソロでミニゲームを遊ぶばかりで……。

…………。

 

いい加減に悲しい方向に脱線した話を戻そう。本筋も悲しい話だが

S君がどうしてポケモン趣味に食いついたか。

当時は丁度アルセウスが話題だったのだ。俺は"腰を据えて据え置きゲームをやるのが無理おじさん"になってしまったが、S君はポケモン好きでアルセウスも遊んでいたのである。

 

その時、俺に電流走る。

「俺の代わりに、S君にメッセージのやり取りをしてもらってはどうか?」

まず、今までメッセージで躓いてきた身としては、社交性のあるS君がどのようなメッセージを送るのか非常に興味がある。

それに、S君が上手くやり取りを盛り上げてくれたとしよう。充分打ち解けたところで、しれっと俺が流れを引き継ぐわけだ。するとどうだ?このかわいい女の子をGiantKillingも十分ありうるのではないか?

悪魔的発想……‼

 

流石に良心が咎めるかと思ったが、度重なる敗戦によって荒んでしまった俺の心の中には一欠けの良心も残っていなかった。

そしてS君もなんだかノリノリだった。

最悪のコンビかよ。


そうして俺はまんまと4度目の有料会員登録をしてしまったのである。

即座にS君と一緒にメッセージを送り、戦いの火ぶたが切って落とされた。


サクラ(疑惑) VS ナリスマシ VS ダークライ

 

ひどい構図だ。

さてどうなったか

 

気になる続きは、

待て次回!

 

....*.....*.....*.....*.....*.....*.....*.....*.....*.... *.....*....

いいね押して下さるなり、リプ下さるなり、何らかのリアクションがいただければ次回の励みになります。ヨロッシャス!

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

 

 

 

おまけ:前回の記事の隠しネタ

 

 

マッチングアプリなぞやるものか

俺は29歳の非モテこどおじである。

時は12月。嫌なシーズンを迎えてしまった。世間はクリスマスムード一色だが、20代最後となる今年も寂しい独り身である。まあこれは仕方がない。俺の周りに女性と出会う環境がないのだ。自発的に行動しなければ彼女どころか、女性の知り合いすらできない。そんな環境で特に行動を起こさないまま29年の人生を送ってきた。

何かせねばと思わなくないこともないのだが、巷で流行っているマッチングアプリ。アレはどうにも手が出ない。なんたって、自分の写真を用意しなくちゃいけないのだ。それに、ウケがいいのは自撮りではなく、他人に撮ってもらった写真だと聞く。そんなもの一体誰に撮ってもらえというのか!おまけに撮る場所も自室ではなく、屋外や店内の方がウケがいいらしいときた。公衆の面前で写真を撮られる!考えただけで鳥肌が立つ。新しい形の自殺ではないか。そんな思いをするぐらいなら、今年も寂しいクリスマスを送ってやろう。

負けてたまるか!人恋しさに負けてたまるか!

 

そう思ってると、知らないアドレスからメールが来ているのに気づいた。

 

はて、なんだろうかこのメールは……

 

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縺翫■繧薙% 様

 

お世話になります。

Photojoyカスタマーサポートです。

 

この度はPhotojoyのご利用誠にありがとうございました。

 

撮影データの色味調整が完了しましたので、GoogleフォトのアルバムURLを送付させていただきます。 

■アルバムURL:螂ス縺阪↑繝舌せ繝医し繧、繧コ縺ッG

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は?

Photojoy?撮影データ?何のことだ?

訳が分からない。

 

でも直感した。

 

これは絶対に触ってはいけないものだ。

 

わかっているのに、指が勝手にURLをタップしてしまう。

 

その瞬間

 

 

画面

 

 

いっぱいに

 

 

広がる

 

 

俺 の  写    真

 

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地獄過ぎて記憶を消していたのでマジでこんな感じになった。

 

マッチングアプリで恋活をしよう

 

そういうわけで、東京駅で新しい形の自殺をした5日後に、写真撮影代行サービスから30枚程度の写真が来た。来てしまった。

自分の写真なんて1枚見るのすらSAN値がゴリゴリ削れるのに、URLをタップしていきなり十数枚をまとめて見せられたもんだから、本気で心臓が止まるかと思った。

ちゃんと【閲覧注意】とか【心臓の弱い方は見ないでください】って注意書きを添えておけよ。(どんなサービスだ)

 

さて、その30枚のグロ画像の中から、マッチングアプリにアップするグロ画像を選ばなくちゃいけない。

しかし、だ。

衆目に晒されながら写真を撮られる、ということはもちろん尋常じゃなく辛い。あの時は五感も心も殺してトキメカニカルを脳内で大音量で流しまくってようやく耐えられた。

 

だが、俺が辛いのは自分の写真を見ること、なのだ。

つまり、

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お、お、お、お。いつもの仏頂面ですらきついのに、気取ったポーズで立ったり座ったり歩いたりスマホを見たり、おまけにキッショいキメ顔やら笑顔やらで写っている

こんなもんを!!!????!?!?!?!?!!!?!?!?衆目に晒していたのか!!!!!!???????

 

おぞましい

一枚一枚とスワイプして改めるたびに

「ウ ク゛ワ゛ッ!……  オ ア゛ア゛ッ!……」などのマジのうめき声がでる。

なぜ12000円も払ってこんな精神的拷問も受けなければならんのだ。もちろん全てが全て俺が招いた結果である。悉く自分の身から出た錆だ。分不相応に彼女が欲しいなどと思ってしまったから。人恋しさに負けてしまったから。そんなことは百も承知だ。そんなことは百も承知だが、俺は泣いた。

 

ただまあ、若くとも流石はプロのカメラマンと言ったところか、被写体に目をつぶれば、構図がきっちりしている。それに、自然な加工という奴だろうか。俺の、月の裏側のごとく汚ならしい肌がキレイになっている。なるほど見てくれで言えば、S君に高知で撮ってもらったグロ画像よりも大分まともに見えるのではないだろうか?

ただ、外苑の芝生に座り込んでいる写真は逆光で白くなりすぎており、使い物にならなかった。まあ、そういったアウトドアなイメージから最もかけ離れている存在が俺であるので、どうせ採用するつもりもなかったが。

そうして青色吐息になりながらも俺は2枚の写真をチョイスし、ペアーズにアップした。たった2枚。少ないだろうか?ただ、あまり同じ服の写真ばかりをあげるのも憚られたのだ。

実は撮影の際に、着替えを持参して途中で着替えるということもできたのだが、「そんな心理的余裕もあるまい、どこで着替えるのだ、そもS君コーデ以外の選択肢がない」と持っていかなかった。その考えは正解だったのだが、ならば撮影枚数を抑えた安いプランもあったのでそれにすればよかったと思う。その方が心理的負担も少なかったはずだ。勝手がわからないとスタンダードプランにしがち。

 

しかしまだゴールには程遠い。コピペプロフィール文も何とかしなければならぬ。ただ、その前に趣味の写真もアップできるということなので、適当なものをアルバムアプリから探すことにした。

アルバムの大半がラーメンとソシャゲのスクショと音ゲーのリザルトだったが、旅行で頂いた名物料理や、アニメ研の合宿で登った磐梯山の写真ならば一般受けも良かろうと思い、それを探してアップした。

悩んだのは、親友のT君とひなビタの聖地である倉吉に行った時の写真だ。

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これは間違いなく一般受けはしない。どころか知らぬ人が見ればマイナスイメージにもつながりかねん。アップするリスクが高すぎる。

しかし、俺は彼女とゲーセンに行って、音ゲーを並んでプレイしてみたい。

常日頃そういうことをしている輩をゲーセンで見かける度に、

(神聖なる自己鍛錬の場にィ!"色恋"を持ち込みやがってよォ!)

と怒りを覚えていたが、正直に認めよう。めちゃくちゃ羨ましい。

そもそも。何のために高い金を出し、辛い思いをして少しでも真っ当な写真を用意したのか。できるだけ素に近い自分でGiantKillingを趣味の会う素敵な女性と出会うためではなかったか。ならばここで臆してどうする。

引けば老いるぞ臆せば死ぬぞ!

俺はこの写真をアップした。

みんなもひなビタを聴いて倉吉に行こう。

 

そしてプロフィール文は推敲に推敲を重ね、そこそこ実物通りで無難なものを書き上げた、つもりだ。S君にも添削してもらった。何から何まで……。

ただ、性格をどう書くかだけは本当に難儀した。およそ褒めるべきところが見つからない。悩んだ末『よく言えば実直です』と書いた。嘘をつけ!

とにかく、これで全ての準備が整った。オタク系コミュニティからこれはと思った人を探して"いいね"を押していく。いざマッチングせん!

バラ色のクリスマス!性の6時間!

ついに!ついに本格的な恋活スタートである!

しかし。

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魔の3段クルーンが俺を待ち受けていた。

 

まあ~~~~~~~~マッチングしない。

しませんわ。

打率が低すぎる。そんなに人権無いすか?

まあないよね。29歳のプロフかこれって自分でも思うもんな。リアルを以下略。

初期のキッショい写真とコピペプロフの方がなんぼか感触が良かったすらある。虚しすぎるな。ただ、これに関してはアプリ始めたての人のプロフには”New”アイコンがつくので、その恩恵があったかもしれない。新卒が評価されるのは就活も恋活も一緒なのか。モタモタ機をうかがっているうちに好機を逃してしまう。俺の人生そんなんばっかしである。

それと俺が若くて顔面偏差値が乖離しすぎている人にばかり"いいね"し過ぎているのも問題だろう。わかっちゃいるけど美人相手じゃねえとやる気にならねんだわ

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語尾に「にゃ」とかつけてツイートしてるオッサンの時点で終わってるにゃ。

 

  • 第2クルーン:メッセージのやり取りが怠い

低打率ながらマッチングするも(やっぱり年齢や見た目はそれなりなのだが)とにかくメッセージのやり取りに難儀する。

大体の初動はアニメ・マンガ好きの方とマッチングして、おススメの作品やらキャラやらを語り合うというものだが、

自分で振っといてなんだが別に面白くない。

こちとら年季の入った逆張りオタク。マッチングアプリでいきなり知らん人におススメされたからって、じゃあ見てみようとかなるか?会話のきっかけとはいえ、よほど好みが一致しなければ、出だしでもうテンションが下がってしまう。ただそれしかできないのだ。他に話の引き出しがない。

内容についても当たり障りのないものになりがちだ。例えば「呪術廻戦でバチクソ面白いのは順平・夜蛾・日車あたりだよな!」なんて対面すらしていない相手にいきなり言えぬ。仕方ないから「乙骨君カッコいいですよね~」とか言ってると、さ?

あと当然男女の好みの差もある。東リベ好き率の高さよ。あとディズニー好きな。死ぬほどいる。TDLTDSどっちが好きとか聞かれても……。

巨乳派か貧乳派かなら即答できるんだが

そして何よりメッセージを書くのが大変だ。俺は普段からノリとフィーリングで思いついたことを適当に喋って3秒後には何を言ったか忘れている性質なので、ちゃんとしたことを書く精神的な負担は大きい。

書く時間を捻出するのも大変だ。相手に合わせて絵文字を入れるのもキツい。何を打てば無難かわからないので😊👍しか打てない。

もっと短文で気軽にテンポよくやり取りする方が楽しいのかもしれんが、お互い社会人ではそのスタンスは難しすぎる。やはり労働は悪。

そんなこんなでなんとなく盛り上がらんな~となっているうちに、放置されてしまったり、気づけば向こうが退会していたり、こちらから質問をして向こうがそっけなく答えるだけが続く状態になって、辛くなって放置してしまう。

質問文には質問文で返してくれ!

そんなこんなで20代最後のクリスマスが無情にも過ぎてしまう。あっというまに1か月が経って、あーこれ勝手に有料会員更新される奴だったかとなり、2か月目も、何の成果も!!となった。

 

メッセージのやり取りですらこんな有様なので、頃合いを見計らってデートに誘うというのは、もう手も足も出なかった。

3か月目にかなり話の合う人とマッチングした。なんとアークナイツ好き!かなりの長文メッセージを何度も送りあった。そろそろデートに誘ってみようか?しかし顔写真がなかったところが面食いの俺の足を鈍らせる(最悪)。そうして、いくらなんでもそろそろいいだろう!と、重い重い腰を上げたところで、丁度退会済みになっていた。

これは実に痛恨であった。モタモタ機をうかがっているうちに好機を逃してしまう。俺の人生そんなんばっかしである。

 

もうこうなるとあきらめの境地だ。結局、何がしたいのか固まらないまま、とりあえず行動してみただけである。ならば2万円以上使ったところで1人とも会えないのもむべなるかな。これも経験よ、身の程を知れたではないかと思って、3か月の課金期間終了後、無料会員として適当にワンチャン狙いの"いいね"を送っていたのだが、

ある日かわいらしい女の子とマッチングが成立する。その上、なんと向こうからメッセージが来ているではないか。しかし無料会員では読めない。

賢しい俺は完全に理解した。これはサクラであると!俺という永遠に彼女ができない優良顧客を逃がしてなるものかと、運営が送り込んだ刺客に違いない!

そんな餌に釣られ面食いの俺はまんまと4か月目の有料会員登録をした。

 

そして3月の末、

ついに俺は初デートに漕ぎ着けるのである。

 

いいね押して下さるなり、リプ下さるなり、何らかのリアクションがいただければ次回の励みになります。ヨロッシャス!

能ある鷹が爪を隠すが如く慎ましく隠し過ぎたせいで自分でも所在が分からなくなっていた俺の長所と良い性格を見抜く慧眼をお持ちの読者諸兄におかれましては、ぜひリプライでそっと教えてください。プロフ文に追記します。さあさあどうか遠慮せず!恥ずかしがらなくてよろしい!

12000円払って公衆の面前で写真を撮られよう

お待たせしました。

何とか3連休中に更新することができた。

本当に筆を早くしたい。

 

マッチングアプリを始めるには写真を載せなければいけない。しかし、俺は卒アルに一人だけ証明写真を載せるぐらい撮られるのが苦手だった。当然スマホには自分の写真はない。よってマッチングアプリは無理。

さてどうしたものかと思っていたが、 S 君が俺の写真を持っていると言うではないか。

そういえば、先月俺と S 君で四国に旅行に行った際、高知の桂浜はりまや橋で俺を撮ってくれたのだった。旅行で気分が浮ついていたので、何とかその有難い申し出を受けたのだ。

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ちなみにその旅行は俺がS君を誘ったのだが、細かいプランを立てておらず行き当たりばったりで、桂浜から戻った後はやることが無くなって晩飯までホテルで寝ていたりした。とても申し訳ないことをした。でも旬の炙り鰹はおいしかった。

 

とにかく、その俺の写真を見せてもらうと、やはりキッショイ笑顔で、服装も適当極まりないものではあったものの※「旅行好きですよ〜」というアピール(笑)にもなるので、とりあえず使い物にはなるだろうと判断した。

俺は S 君にその写真を送ってもらい、なるべく直視しないよう薄目でアップしたのだった

S君曰く『全体的にモコモコしてる上にから"お父さん"みたい』

ユ〇クロで安売りしてるチェックのネルシャツやらを適当に着てるからそうなる。

父親になるどころか彼女もいないのに……

 

さあ!なんとかかんとか写真とプロフ文が揃って最低限の体裁が整った。

残り10分で30人の女性に"いいね"を送らなければならない。

1人20秒だとプロフィールをいちいち読んでいる時間はないので、もう写真の第一印象で決めるしかない。やはりこの世は顔である

これを書いている今でこそ、前回の記事で説明した「コミュニティ」を使うことで趣味が合う女性を効率良く探せると知っているが、当時は気づけなかった。

なので俺は居住地や年齢などで絞り込み候補をかけた。候補に該当している女性の写真がずらっと出てくる。

 

ここで、正直言うと、少しショックを受けた。

年齢はプラスマイナス3歳でサーチしたのだが、結構、歳を取っているな……と感じたのだ。

読者諸兄は「手前もその29の立派なオッサンのくせして、何を偉そうに浦島太郎のようなことを……」と呆れるだろう。しかし、なにせこちとら、男子校~理工系大学(おまけにアニメ研)~メーカーというおちんちんの竜宮城で遊び惚けていたのだ。

普通の男性がクリスマスを彼女と過ごしている間に冬コミのサークルチェックをして、バレンタインにはソシャゲの特殊ボイスを回収していた。

身の周りの女性と言えば母親くらいしかおらず、摂取するのは二次元ばかり。他に観測する三次元の女性といえば、煌びやかな声優の方くらいだ。

つまり、普通の同年代の女性というものがピンと来ていなかった。なので、想像と現実のギャップにガーンときたのだ。

さながら、マッチングアプリという玉手箱を開けてしまったというところである。遅まきながら真剣で危機感を覚えた。

俺は半ば呆然としつつ、とにかく見た目が少しでも好みだと思った女性にいいねを押し始めた。

 

それにしても。自分のことを棚に上げ、次々に女性の顔を見てアリだナシだと選り分けていくというのは罪悪感が凄い。お前は一体何様なんだ?誰より一番醜いのは俺ではないか?そう思いながら次々とプロフィール写真をスワイプし、都度"いいね"を押していく。

心が折れそうだ。

そもこんなことに意味はあるのか?コピペの自己紹介に"いいね"を返してもらったところでなんになる?そこからメッセージのやり取りに漕ぎ着けたところで、やはりどこかで「実は小生、アニメを嗜んでおりまつ!w」と打ち明けねばなるまい。

というかオタク関連以外の話題がない。浅い人生しか送ってこなかったから。

すると、結局はお互い無駄なやり取りをする羽目になるだけでは?

そう弱音を吐く俺の尻をS君が叩く。

"いいね"をされた人数はプロフィールに表示される。これが少ないと、魅力に思ってる人が少ないっちゅうことやから、第一印象がもうアカン。せやからここで少しでも"いいね"を稼がなあかんのや」

なるほどそういうことか。だがS君よ、こちとらモテないからマッチングアプリに登録しているんだ。そんなにジャカポコ"いいね”が返ってくるもんなのか?

S君「いや知らん。マッチングアプリって基本的にはモテるポテンシャルを持っとるのに出会いがないっちゅう奴がやるもんやないか?

ぼく「…………ワァ…………ぁ…………」

S君「泣いちゃった!!」

俺は泣きながら30いいねを送り付けた。こんな"いいね"を送られた向こうも迷惑だろうが俺も辛い。許してくれ。

 

地獄のような作業の中にも面白いことはあった。俺と S 君で女性の見た目の好みが全然一致していないのである。

もともとそういう傾向があることは分かっていた。S 君とはコミケで回るサークルの分担もする仲であるのだが、

俺が高身長・ムチムチ・薄毛デカめ・太め・薄めのキャラが好きなのに対し(リアルを生きていない!)

S君は真逆で、低身長・スリム・剛毛低め・細め・濃いめのキャラが好きなのだ。

その他およそ性的嗜好と呼べる類のものは大体真逆である。俺の周りは貧乳好きばっかりだ。

しかし、これはあくまでキャラクターの記号の話である。それなのに、現実の女性の見てくれでここまで意見が食い違うというのは面白かった。

以前、「好きなアニメキャラがどうだからこうとか、別にそういうんじゃないから」と言った記憶もあるが、どうやらそうではなかったようだ。

ゼクシィのスタッフ、本当におそるべし。

まあ普通の人間は「芸能人で言ったら誰が好き」あたりの話題を通じて、そういうのは当然のことと認識しているのかもしれない。だが俺は芸能人に疎いのでそんな話はしたことはない。いや、綾瀬はるかの乳好きみたいな話はしたかも。

 

そんなことを話しているうちに通知が来る。

なんと、相手がいいねを返してくれたというではないか!

こんな俺でも箸にも棒にもかからないということは無かった。ホッと胸をなでおろす。

まあコピペしたプロフ文が良かったということだろう。やはりああいうのが受けるのか。

それに、何人かはメッセージもくれていた!

なんだよ、結構当たんじゃねえか……。

ただ課金はしていないのでその内容はわからない。

S君「よかったやん。どうすんの?課金すんの?」

ぼく「……思うんだけどね。やっぱりプロフィールはある程度正直に書きたい。少なくともオタクであることは事前に断っておきたいんだ。もちろんそれだけだと厳しいだろう。でも今さっき、見てくれで"いいね"するしないを繰り返した身としては、盛った写真さえ用意できればワンチャンGiant Killingもいけるんじゃないかという気がしてきたんだ。どうだろう?

S君「ワンチャンあるかは知らんけど、つまり、プロに頼もうっちゅうことやな」

ぼく「そうだ。12000円を払って公衆の面前で写真を撮られよう」(サブタイトル回収)

つまるところ、せっかく送ってもらったメッセージはガン無視することとなった。結局俺がやったことはただの"いいね"稼ぎである。だがこれはこういう状況からなし崩し的に有料会員登録させようとするペアーズのシステムもどうかなと思う。

 

マッチングアプリ用写真撮影代行サービス。

マッチングアプリにおいて生命線と言えるプロフ写真を、プロの手で撮ってくれるサービスだ。

俺は結婚相談所のイメージから、こういうのはスタジオを借りて撮るものだと思っていたが、街中や公園などの屋外で撮影してくれるサービスもあるらしい。こちらの方がスタジオ代が浮くぶん安いようだ。野外での季節感のある写真を撮影して、ナチュラルなモテる加工修正をしてくれるよ、ということらしい。心強いね!

それでも12000円というのは安くないが、あんなキッショイ写真でも"いいね"がチラホラ返ってきたのだ。

ならば、ここらで一発かっちょいい写真を撮って"いいね"がバンバン来れば、モテまくりの自己肯定感満たされまくりで写真嫌いも克服できるのではないか、という希望的観測も立つ(?)

まあ最悪万一の時の遺影に使えるなと思うことにした。骨は拾ってくれ。

 

尻を叩いてくれるS君がいるうちにそれ用のサイトに登録し、料金を支払って撮影の日程と場所を決定する。当日が雨天の場合に日をずらせる保険も掛けれたりもするらしいが、そこは12月初旬であることを考えて何もつけなかった。場所の選択肢は新宿駅や東京駅などしかなかったので第3希望までを適当に選んだ。

他には、撮ってもらう写真のイメージを希望できるらしい。その時の画面がこれだ(やっつけペイント編集)

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公衆の面前でこんなポーズをとって、そこをパシャパシャ撮られるのかと思うと今から眩暈がしたが、無難そうな正面・前身・横顔あたりを選んでおいた。

 

そして撮影当日を迎える。はたして無事に天気は晴れた。

場所は東京駅になった。普段は新幹線の乗り換えぐらいでしか来ない場所だが、下の行幸通りは赤レンガの駅舎が目に入るし、御覧のように自然もそこそこあるので、なるほど写真映えしそうである。

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上の画像は緑だが、当時は奇麗な紅葉だった。しかし人通りも多い。

近くのカフェの前が集合場所だったのだが、早めに着いた俺は既に落ち着きを失い、あたりをウロウロと歩き回る挙動不審のオッサンになった。

 

待ち合わせの時間に電話が来てカメラマンと合流する。

若い。

俺より余裕で若い。マスクだから顔はよくわからなかったが、もう雰囲気が陽キャだ。当然茶髪。ピアスすらしている。身長も俺より高い。ああ、俺の1万倍はモテる、別世界の人間だなと一目見て思った。0に何をかけても0だろとか言わない。

翻って俺ときたら、服装はいつものS君コーデなのはまだいいとして、髪は1200円カットである。撮影代の10分の1。

勿論ちゃんとした美容室に行くべきなのはわかっていた。ただ、あいにく先月カットに行ったばかりで、おまけに貧乏性を発揮してかなり短くしてもらっていた。どうしようもないのでセットで何とかごまかそうとしている状況である。

早くも帰りたくなってきた。既に十二分にしんどいのに、もしも撮影中に「撮る方と撮られる方、逆じゃない?w」なんて会話が耳に入ってきたら俺はその場で舌を噛み切って死ぬ。

カメラマンが撮るのはマジの遺影になるだろう。

 

それでも俺の緊張を和らげようとしてくれるのか、カメラマンは世間話を振ってくれる。心もイケメンか。完敗だよ。

年下に気遣われてしまった俺はこのカメラマンを信じることにした。というかこの人に縋るしかないのだ。若くてもプロだ。指示通りにしていれば、そう酷いことにはなるまい。

29のオッサンが下手に恥ずしがってモジモジしてみろ。それこそ地獄絵図だ。もう心を殺して機械になろう。俺は機械系の社畜だから出来る。

機械系の社畜じゃなかったら耐えられなかった。

命令には従うだけ  ボクは機械だから
ムダな感情  なんかいらない
それが正常なんだ

トキメキメカニカル
「オフロガ  ワキマシタ」

 

最初は丸の内仲通りで撮影が始まる。

休日は歩行者天国となっているようで、道路に机と椅子が置かれていて、子供用のブランコまである。あら素敵な場所。当然、家族連れがチラホラいる。カップルもいる。

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いきなり殺しにくるじゃん。

もうちょっと人通りの少ないところで慣らしてから行きましょうとか無いんか?

しかし俺は機械。心を殺して指示通りに動く。

椅子に座って、手を組んで、目線はどこで、ニコッと(ニチャッと)笑う。パシャリ。一丁上がり。笑顔が硬い?しょうがないっすよ機械なんだから。

次は立つんですね。ハイ喜んで。どっちの足が前で、重心がどうで、体をひねって、視線はそっちで、笑顔をニチャッ☆パシャリ。ハイもう一丁。

周りから「何?なにかの撮影?」なんてワードが聞こえてきてしまったのでカメラマンの指示に聴力を全集中する。アーアー聞こえない。

もう眼鏡も外させてもらっていいっすか?普段通りの眼鏡かそれともコンタクトを着けていくかを悩んだとき、S君から「そういうのは普段通りで行け」と言われたんすけど、もう視覚も遮断したいんす。

だって今の俺は傍から見れば歩いているポーズで静止して虚空を見つめてニチャっと笑っているオッサンですよ。

何も見たくねえ……。

それに、いくら普段通りとはいえ、この眼鏡はJinsのやっすい茶色フレームのブルーライトカット。そういえば会社の先輩から「オッサンくさく見える」と言われたこともあった。そんなストレートな罵倒あります?

カメラマンも、俺の奇行にちょっと(ちょっと?)戸惑ったようだが、「じゃあその眼鏡外しちゃいましょう」と言ってくれた。

よっしゃ。これで全てが曖昧な世界になった。リアルを生きなくて済む。

 

場所を移しながら撮影は続いていく。仲通りを離れるとそこまで人は多くなく、撮られるのにも慣れてきたのか、はたまた俺の心が本格的に壊れてしまったのか、そこまで辛くなかった。

 

行幸通り中央車線広場近くで皇居の堀を背景にキメ顔で撮ってもらったり。

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皇居外苑の芝生の上に座り「公園デート中で~す☆」っぽいシチュエーションで撮影されたり、

ベンチに座ってスマホを見ているポーズで「待ち合わせ中にこっそり撮られちゃった☆」シチュエーションで撮影されたりしてるうちに、俺もなんだかノリノリになってきてしまった‼

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いややっぱ辛えわ

なんだよこの拷問は。

29歳になってようやく彼女を作ろうとするとこんなピエロにならなくちゃいけないのか?

本当に勘弁してくれ。よりにもよって皇居の周りで。不敬罪だろこんなの。俺が。

 

最後に行幸通りに戻って撮影を行い(ここも人が多かった!)全行程が終わる。

地獄のような1時間だった。

1週間程度で写真を30枚程度に厳選して加工して渡してくれるそうだ。

憔悴しきった俺は最後に「盛りに盛って絶対にイケメンにしてくださいね‼‼」と難題を言い残す。素材がこれではカメラマンさんも困るだろうが、きっと何とかしてくれる。そう思わなくてはやってられない。

そうだ。金を払ってここまで苦しい思いをしたのだから、絶対にイケてる写真を餌に伝説上の生物:オタクに優しいギャルを捕まえてやる。

そして20代最後のクリスマスこそは性の6時間を迎えてやる。

固い決意股間を持って写真が到着する日を待とうではないか!

 

そう考えていた私は手の施しようのない阿呆だった。

 

次回「マッチングアプリで恋活をしたけど」

物語の終わりが近い。

 

 

え?まだ始まってすらいないのに?

 

いつも"いいね"を押してくれたり、温かい励ましのお言葉を送って下さってありがとうございます。

Thank you for  keeping the restroom clean.

マッチングアプリに登録しよう

時は11月末。俺が結婚相談所に行った週の花金。

俺はS君と反省会を行っていた。

場所は都内某所のジョナサンである。

ジョナサンといえばドリンクバーだ。お茶の種類が豊富で、ティーバッグではなく茶葉で淹れることができるのが素晴らしい。しかし、最近茶葉入れが金属製に変わり、お湯で熱くなって触りづらくなってしまった。前のプラ製に戻してほしい。

閑話休題

以下反省会の内容である。

 

ぼく「ダメだったよ。半年間のデートでご両親への挨拶を済ませろというのはいくら何でもムチャクチャだ。ぼくがしたいのは、弾道が上がったり、超特殊能力が貰えたり、CGがギャラリーに保存されるようなキャッキャウフフなんだぜ。あんな入籍RTA in Japanをやりたいんじゃないんだ」

S君「確かに最初の町からフィールドに出たことすらない経験値ゼロの勇者サマにはハードルが高いかもしれんな」

ぼく「そうだよ。大体、君も同じところで相談していたんだから、『こういうスピード感だ』と事前に教えてくれていたらよかったんだ。さては、君もゼクシィスタッフの巧みな話術に騙されていた口だな?」

S君「まあ確かにそこはわかっとらんかった。確かにお前がついていけない世界のスピードやな。ただ、ほならどうすんねん。他に手はあるんか。今までも、お前が頼むからオタク街コンやら合コンやらについて行ってやったやろ」

 

そうなのだ。もう何年か前の話になるが、彼に頼んでオタク街コンについて来てもらったことがある。2対2のローテーションを回すタイプだ。

しかし結果は空振りだった。

いわゆる1次会が終了した後、「やりたい人は二次会行きましょう!」という流れだったのだが、S君はフリーターばっかしやったな。まあ、もうこういうのはええわ』と参加するつもりはないようだった。

それを聞いた俺も、もう少し話を聞いてみたいと思った人はいたが「確かにわざわざ連絡をとるほどではないかな……」と日和ってしまったのである。

 

また、合コンにも呼んでもらったことがあった。

合コン自体はそれよりも前に、大学の同期とやったことはあるのだが、合コンしたくない大学ランキング1位も納得の濃い面子(控えめな表現)が俺含めて集まってしまい、もう、思い返すのも正直嫌なのだが、まあ大惨事になった。

俺が自己紹介をした後の「リアルを生きていない」というご尤もな指摘は、今でも俺のトラウマになっている。リアルってどうやったら生きれるんだ。

しかし、S君と合コンをやった時は、後日に女性の方から「あの場では言えなかったけど私もアニメが好きで……」と連絡が来たのだ!物好きもいたもんである。

しかし、彼女が好きだという作品が、よりによって拗らせ逆張りオタクが3話切りした作品だったので、なんと返そうかあたふたしているうちに向こうが察して身を引いてしまったという、しょうもない結末を迎えていたのである。

このあたりの積極性の無さは、今になっても変わっていない。

 

S君「何べんも言うとるけど、とにかくお前は女性経験を積まないかんのや。もし万が一お前の大好きなボインちゃんとお近づきになれるチャンスがあっても、そんな状態で口説き落とせるんか?お前は今『服を買いに行く服がない』状態なんやで?」

 

服選びを助けてくれるS君にそれを言われるとぐうの音も出ない。

ぼく「わかったよ……マッチングアプリに登録しよう(サブタイトル回収)

 

マッチングアプリ

それはガラケー時代には出会い系サイトと呼ばれており、アングラなモノだった。

実は俺も過去に下心バリバリで登録してみたことがあるのだが、どう見ても業者っぽいアカウントからアレなメッセージしか届かないのでまともに利用したことはなかった。

ただ、数年前からマッチングアプリと呼称を変え、かなり市民権を得ているように感じる。これが時代の変化か。

ただ、ひとえにマッチングアプリと言っても、アプリによって登録者の年齢層や利用目的が異なる。例えば利用目的をとってみても、婚活か、恋人探しか(恋活というらしい。知ってた?)、はたまた金銭目的か、という具合だ。なので、自分に合ったアプリを選ぶ必要がある。(下図参照)

 

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しかし、今回俺が登録するアプリはすんなり決定した。それはペアーズである。

ペアーズと言えば、最近Twitterでも数人の絵師が案件漫画を描いているのを見た読者諸兄もいるのではないだろうか。確かに、このアプリはなかなか使いやすいのだ。一番は、"コミュニティ"というものが存在することによる。

これは登録者が作成できるグループのようなものであり、具体的には「旅行好き」「禁煙派」「アニメが好き」「男子校(女子校)出身です」「きのこ派」「ウマ娘やってます」「アークナイツ」など様々なものがある。

そこに加入することで、自己紹介文にあれこれ書かずとも価値観を示せるし、特定の作品が好きな人間を探しに行ける

これだよ!俺がとら婚でやりたかったことはよ!

まあ結局はS君がこのアプリを使っていたことが決め手である。彼はそれで2,3人とお茶をして、それで飽きてやめてしまったそうだが。

もうなんでもかんでもS君頼りだ。俺と社会性を繋ぎとめている最後の綱である。ズッ友だョ……

 

料金は月3700円。あらかじめNヶ月分を纏めて課金すればいくらか安くなるという寸法だ。一応、有料登録せずとも、プロフィール作成や消耗品である"いいね"をすることで相手にコンタクトできる。ただ、有料登録しなければ相手から来たメッセージを読むことはできない。

ひとまず俺は無料会員のまま登録作業を進めた。結婚相談所のようにデカめの初期費用が掛からないところは良い。

 

さて、まずは自分のプロフィールを作成しなければならない。これが気が重いところだ。特に困るのが写真と自己紹介文だ。とりあえず、年齢や住まいや身長や年収やらの埋めやすいところから埋めていくことにした。

一応、身分証明書の登録を求められるので、年齢については嘘がつけないようだ。

ああ!29歳!

一方で、他の情報は盛り放題なことに気を付けなければならない。そして、ほとんど見ないが業者もいるにはいるようである。怪しい日本語でいきなりLINEの連絡先を送り付けてくる人もいたりした。特にプロフに「体系:グラマー」と書いているのは確率が高い。そんなんに釣られるわけがない。一応確認としてプロフの写真はチェックする。あくまで確認としてだ。

 

話はそれたが年齢以外は盛れるということで、俺は自分の身長を1cm盛って176で登録した。

S君「お前って身長確か175じゃなかt

ぼく「何が悪いか!174の奴は間違いなく175と書いているのだ!本当に175の俺はその分割を食っていると常々感じていた!だからここは断固として176なのだ!」

S君は心底どうでもよさそうな顔をしていた。

身長はあっても人権がないってそれ。

 

他にも実家暮らしか、独り暮らしかを入力する欄があった。

これは困った。

俺は29歳の子供部屋おじさんである。

 

S君「空欄にしとけ」

ぼく「はい」

空欄にした。

 

実家が結局一番楽 何もせんでもご飯出てくるし

お風呂あったかい 布団あったかい

昼に起きて朝に寝る生活!

8時に起こして! アニメ観るから!

 

前回と言い、ヤバイTシャツ屋さんによくよく縁があるがヤバイのは俺の人生である。

 

そんな感じで選択項目を埋めた。交際経験とか聞かれなくてよかった。

次は自己紹介文を書かなくてはならない。

しかし、ここである問題が発覚する。

 

ぼく「この”フィーバータイムの残り時間”というのはなんだ……?」

 

なんと、身長を1cm詐称したり子供部屋おじさんであることを隠蔽したりしている間は気づかなかったが、登録してから30分間だけ、30人の女性に”いいね”を送れるらしい。

先述したが、相手に好意があることを示す”いいね”は消耗品である。”いいね”をすれば相手に通知が行き、お互いが”いいね”を送りあって初めてメッセージのやり取りが可能になる、というシステムだ。つまり出会いに必須なアイテムである。

しかし、この”いいね”の初期保持数は雀の涙である。貯めるには有料会員登録やログインボーナスが必要になる。なのでこの貴重な30”いいね”は有効に活用しなければならない。

だが、自己紹介文も写真もないまま女性に"いいね"を押しても帰ってこないだろう。それでは意味はない。なのにフィーバータイムはもう残り15分を切っていた

 

ぼく「ええっ!?15分弱で自己紹介文を書いて写真も上げて30人にいいねを!?」

S君「できらあ!」

ぼく「いや絶対無理でしょ。自己紹介文なんて何を書けばいいんだ。俺のリアルでない人生を振り返って、あるかもわからない女性受けの良い趣味とやらを探すのか!女性受けのいい趣味って何?ドライブとかか?あったとて、それをどうにかこうにか人様の目に触れさせられる形の文章にするのにどれだけの時間がかかると思っている!就活を思い出す!辛い気持ち!」

焦りとトラウマを想起したことでパニックになる俺に

S君「とりあえずネットで探したテンプレをコピペしとけ!」

ぼく「なるほど!」

S君は頼れる男だった。

 

そうしてできた自己紹介文が以下のものになる。

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はじめまして!プロフィールを見て頂きありがとうございます。
身の回りに出会いがないのでアプリを始めました!

【仕事】
都内でエンジニアをしています。

忙しい時期もありますが、職場の雰囲気はよく、大きなプロジェクトが無事に完遂して感謝のお言葉を頂いたときは達成感があります!


【趣味】
どちらかというとインドア派で、休日は映画を見たり本を読んだりすることが多いです。
でも、たまに友達と旅行に行っておいしいものを食べるのも大好きです!

【性格】
性格は明るい・ポジティブといわれることが多いです。
割と人懐っこいので、初対面の相手とも仲良くなりやすいタイプです。

彼女ができたら一緒に美味しいお店を探したり、まったり映画を観たりして楽しい時間を過ごしたいです。

最後まで見ていただきありがとうございます。
どうぞよろしくお願いします!

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誰?

という感じだが、とりあえず自己紹介文をクリアした。

 

最後に残るのは自分の写真。マッチングアプリで一番大事な要素と言っていいだろう。

所詮人間顔である。俺の場合は乳もあるがそれと金。

しかし、写真。俺は写真を撮られるのが大の苦手である。

 

こんなことがあった。

俺が母校を卒業する時分、「卒業アルバム用の写真を大学構内で撮るので、希望者は連絡をしろ」とお知らせが来たことがある。しかし、俺はそんなもの願い下げじゃいと希望を出さず、”ありもの”を提出して済ますことにした。俺の他にもわざわざ写真を撮られたがらない者は大勢いるだろうと思ったのだ。

はたして、完成した卒業アルバムは、他の同期全員が、私服で、構内の自然や建物をバックに、笑顔の自然体で写っているのに対し、俺が、俺一人だけが、スーツ・青一色の背景・真顔の就活用証明写真というとんでもないものになってしまった。

少し前、大学・会社が同じである既婚で子持ちのK氏の家に、S君含む会社の同期数人でお邪魔した。その際に卒業アルバムを皆で見たのだが、俺一人がめちゃくちゃ浮いて悪目立ちしており、統一感も台無しにしていた。卒業アルバムといえば一生モノの思い出アイテムである。皆笑っていたが引いていた。俺も引いていた。合コンどころか社会性が終わっている人間ランキング1位だ。

人生つれえわ死にてえー誰か俺を殺してくれ(ピイー↑)

nico.ms

 

こんな黒歴史すら持っている。というか、恐ろしいことに俺という人間が持つこの手のエピソードは枚挙にいとまがない。

当然、スマホに自分の写真など入っていないのであった。とりあえず写真以外の情報を登録だけしておいて、後から写真を工面しようと思っていたのが仇になった。

残りのフィーバータイムは10分強。果たして俺はマッチングアプリで"いいね"を送ることができるのか!?最早心配するべきはそんな些末事ではない気がするが、いい加減もう色々と辛いので、続きは待て、次回!

 

次回、今度こそ「12000円を払って公衆の面前でマッチングアプリ用の写真を撮られよう」の、はず。筆が進まないと「マッチングアプリで”いいね”をしよう」止まりかもしれない。とにかく2週間くらいで更新できるよう頑張りたい所存。

乞うご期待。

 

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