たかがリューシの文才で

歌えない・踊れない 悲しい”社畜”の物語

10万円払って美人に股間を〇〇してもらおう

 

それは20代最後の夏休みのこと

 

8月末についに三十路に突入してしまう俺は、あることを考えていた。

 

このまま漫然と30歳を迎えてしまってよいのか?

 

20歳になるときはまだ良かった。別になりたくはなかったが、成人して、大人の仲間入りをしたんだという感慨はあった。

一人の大人として認められ、酒・たばこ・公営ギャンブルを楽しむことができるようになり、選挙権だって与えられる。

まあ選挙はともかく、酒たばこは俺には全く合わなかった。特に町内会の成人式でアホほど飲まされてマーライオンのように吐いた時に、こんなもんを飲まされる空気と闘わなくてはいけない大人なんてクソだと気づいたのだが。

そして一番良かったのは18歳になった時だ。

R18の解禁!!

ためらいなく桃色サイトを覗くことができ、ETCH SUKEBE BOOKを大手を振って買うことができる。

あの時は最高だった。

俺は無敵になったんだ、という感じがあった。

 

 

翻って30歳はどうだ?良いことなど何もない。

なんたって、"アラサー"の時点ですでに蔑称である。

アラウンドでこれだ。

それがもうすぐジャスト。ジャストサーティだ。

ジャッサだ。

JAXAではない。

 

身体にはガタが出始める。

頭にも白いものが混じり始める。

一気に転職もし辛くなる。

一生オワコン弊社のお荷物になるのか。

テレワークのある会社に行きたい。

いや、正確にはサボりたい。

サボって給料をもらいたい。

不労所得が欲しい。

 

そして、モテなくなる。これまで以上にだ。

幼い頃の純真だった私は、30にもなったら流石に籍を入れて子供の一人や二人こさえてるもんだと信じて疑っていなかったが、まさか彼女一人こさえられんとは思わなんだ。

代わりに何か打ち込めるものが見つかっていればまだ良かったのだが、中学のバドミントン部を1年で辞めたときから始まり、アニメ、麻雀、音ゲー、ソシャゲ、どれもこれもエンジョイ勢とまでは言わないが、ガチ勢とはとても呼べない。

 

そんな体たらくである。

漫然と、ただ漫然と生きてきてしまった。

もっと先、さらに歳を取った時に、俺は今この瞬間をどう振り返るだろう。

「30歳になった時って何してたかなあ。マッチングアプリとかしてた気もするけど、まあ結局何もしてなかったなあ。」

そんなことしか思えないのだろうか。

せいぜい記念すべき100回目の夏コミ行ったくらいか。

この先の人生でイイコトなんて何にも無い。オワオワリだ。

 

俺はそんなことを考えて夏休みを過ごしていた。

 

 

 

「おいおい!

おいおいおいおい!

シケた面してんじゃねえ!

そんなことでいいのかよ!無いなら作ろう!作ろうぜ!

『30歳になったときは思い切ってアレをしたんだよな!アレは良かったな!』

そんなステキな思い出、作っちゃおうぜ!」

 

不意に俺の股間でジョニーが頭をもたげた。

どうした急に。

 

「彼女がいないのはそりゃ残念さ、すんげえ残念だけどよ!それが逆にいいってことも、あるんじゃねえか!?

逆に、彼女がいたら気軽にできないことって、あるだろ?

つまり、何が言いたいかって言うと、お前は今メチャクチャ自由な状態なんだよ。

フリーなんだ!これを活かそうぜ!

……おいおい!トボけてんじゃねえよ!

お前、前からやりたいって思ってたことがあったじゃねえか!

隠したって無駄だ、他でもないこのオレのことだからな!

ただ、どうしても金がかかるからって自分で処理してた!

それがずっと心に引っかかってたろ!?

そうだよ、アレのことだよ!

考えてもみろよ!

今のお前ってさ、夏のボーナスもあってよ、懐が暖かいじゃねえか!

ここらで一発!そいつを景気よく使っちまおうぜ!

30になった記念だ!美人のお姉さんと一生もんのとびっきりの思い出をさ、作っちまおうぜ!』

 

そうか……

そうだよな……

ずっとしたいって思ってたけど、ネットで調べたら10万円くらいするんだよな。

しかもこの手のやつって絶対1回じゃ終わらないんだよな。

リピートしちゃうんだ。だから20万とか、下手したら30万とかになる。

だったらこれからも今まで通り自分で処理しちゃえばいいやって思ってたけど、

俺の人生って、なるべく安く安く済ませようとして、それで、ずっと本当にしたいことから逃げて来たんだよな……。

……わかったよジョニー。

俺は30になるのをきっかけに、そういう生き方を変える。

いきなり全部は無理かもしれないけど、節目を迎えるこの瞬間。思い切って大枚を叩くことにするよ!

 

「マジか……!マジかよ!

ついにこの時が来たのかよ!

うおおおおおおお!テンション上がってきたぜ!!!」

 

ああ!

そうさ!

喜べジョニー!

俺が30になるのと同時にお前は生まれ変わるんだ!

10万、20万!それがどうした!払ってやろうじゃないか!

 

 

 

10万払って……!!!

 

 

美人に……!!!

 

 

 

股間を……!!!

 

 

 

 

 

 

脱毛してもらおうじゃないか!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

はい。

 

 

 

まさかいないとは思うが、エッチなお店の話と勘違いした妄想猛々しい読者はおるまいな?

ご存じの通りこのブログは「愛とは何か」という高尚なテーマを取り扱った健全かつ気品溢れるものであるからしてそういったご期待には一切お応えすることができません。

お上品極まりないブログで申し訳ない……。

 

そういう訳で10万払ってVIOの脱毛を始めました

※ここからは内容が極めてお上品になるので苦手な方はブラウザバックしてください。

 

 

 

 

 

具体的に言うと、オチンチン金玉尻穴周りの毛とサヨナラして、ツルっツルのハイジニーナ男子、通称ハイジ男子になります。

 

 

お上品極まりない図

 

いや~ほんと常々いらねえなと思ってたんですよ、ここら辺の毛。

一番はお尻の毛ですね。とにかくトイレットペーパーが絡まって辛抱たまらん。

尻穴周りという窪んだ部位なので剃り辛いし、剃ったら剃ったでチクチクする。何より剃っている最中の格好は最高にアホのそれである。

他にも、固まるワックスを毛に塗って引き剥がす、ブラジリアンワックスなるものも試してみたんだが、試しにVの毛の一部でやってみたら、そこの皮膚が茶色く変色して無茶苦茶ビビってやめた。元に戻るのにも時間かかったし、あれは本当に怖かった。第一、毛を抜くのはお肌に良くない行為なのだ。

なのでいつか絶対に股間の毛根を根こそぎに駆逐してやろうぞと思っていたのを、30歳になるのを踏ん切りに実行に移したのだ。

俺はレーザー脱毛自体はヒゲや脇で既に経験済みである。12回照射して、一部のヒゲは完全脱毛しきれず残ってしまったが、範囲は狭くササっと剃れるので非常に満足している。このマスク社会で、どうせ見えないからと髭剃りをしていない人をよく見るが、ふとした拍子に中々の有様が見えてしまうと、中々に中々だなあと思ってしまう。

ヒゲ脱毛はいいぞ!

 

そういう訳で脱毛自体には慣れていた俺だったが、事がデリケートゾーンになるとだいぶ話が変わってくる。

まずは痛みだ。レーザー脱毛する際にはいわゆる「ゴムではじいたような痛み」があるのだが、VIOではもうちょっと痛いらしい。なんでも肌の色素が濃いからレーザーが強く反応するのだとか……怖いね。

しかし所詮痛みなど我慢すりゃいいので大した問題ではない。

 

何が問題かって、股間という生殺与奪の権を文字通り他人の手に握らせるってとこなんだよな。

どうせ赤ん坊のおしめ交換の時以来ずっと開帳してこなかった自らの肛門を人様の目に晒すのだから、この際ちんちんたまたまの毛もスッキリするつもりであった。奴らときたら邪魔で暑苦しく矢鱈と何かの間に挟まりたがりおまけに神出鬼没ときたものだ。養っていて何もいいことはない。

まあキレイにしたところで見せたりする相手がいるとかじゃないのがアレなんですけどね。

一方で、他人に股間を任せることにはちょっとしたトラウマがある。

ちょうど二十歳の時に肺気胸で入院手術したときのこと。陰茎にカテーテルを刺され、抜いた後の初めての用足しの時にそれは起きた。なんと膀胱に溜まっていた空気がブーブークッションのように勢いよく噴き出したのだ。この爆発の傷によって数日間オシッコをするたびに身が割けるような激痛に苦しむ羽目になった。アレは本当につらかった

もちろん股間を他人に晒す羞恥心もなくはないのだが、上記のちんちん大爆発事件の時に既に看護師さんにあれやこれや捏ね繰り回されたわけで、いやそれは医療行為だろと言うならば脱毛もそうなので、正直人並みの羞恥心があるかっていうとあんまりないかもしれない。

ブログのネタにするくらいだしな。

 

羞恥心を失ったオッサン!

最悪の生き物じゃん!

 

男の看護師がやってくれるところも探せばあったのだが、正直、比較的力が強くて雑な傾向のある男性に(偏見)股間をいじらせる恐怖心が、女性に愚息を晒す羞恥心よりも何倍も大きかった。

 

いや、いろいろ言い訳をしたが正直に言おう。

 

どうせなら美人に股間を脱毛してもらいてえよな!!!!!!!!!!!

 

ということで最悪の生き物のVIO脱毛シリーズが始まります。

 

「小人閑居して不善をなす」とはよく言ったもんだよな。